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子どもの英語教育はいつからがベスト?脳科学でわかる最適な開始時期

子どもの英語教育はいつからがベスト?脳科学でわかる最適な開始時期

目次

「まわりの子はもう英語を始めているみたい……うちはいつからがいいの?」と気になっている方、多いのではないでしょうか。

「何歳から始めるのがベスト?」と悩むママ・パパは多いと思いますが、実は研究者のあいだでもはっきりとした結論は出ておらず、さまざまな考え方があります。ただ、言語能力のなかでも音声的な面は6歳ごろまでが学習・習得に適した時期とされており、早い時期から英語の音に親しむことは一定のメリットがあると考えられています。

この記事では、脳科学や臨界期仮説の知見をもとに、お子さんの年齢に合った英語教育の始め方を解説します。

※出典:英語情報Web(公益財団法人日本英語検定協会)池田周(愛知県立大学)「第23回 『臨界期』再考 - 発達段階に応じた学び方を」https://eigojoho.eiken.or.jp/education/2480/

記事の監修者:鈴木 邦明

記事の監修者:鈴木 邦明(すずき くにあき)
【実績】

公立小学校で22年間勤務後、大学教員として教育・保育分野の研究・指導に従事。
子どもの健康、運動遊び、学級経営、保護者対応を専門とし、研修・講演・執筆活動も多数。
教育現場の経験を活かし、子どもと家庭を支える情報発信を行っています。

子どもの英語教育は何歳から始めるのがベスト?結論を解説

子どもの英語教育に「この年齢から始めなければ手遅れ」という明確な期限はありませんが、脳の発達を踏まえると早い時期から始めるほど有利になる傾向があります。

英語教育の開始時期に「正解」はない

英語教育を何歳から始めるのがベストなのかは、家庭の環境やお子さんの性格によって最適なタイミングが違ってきます。研究者のあいだでも「何歳がベスト」という統一的な見解は出ておらず、さまざまな考え方があるのが現状です。

言語能力の発達について、認知発達全体では思春期が始まる12歳ごろまで、言語能力については8〜9歳ごろまでを学習・習得に適した時期とする考え方が紹介されています。ただし、学習にはそれぞれの子どもの個性や性格なども影響するため、「ある年齢を過ぎたから英語の習得が非常に難しい」と一概に考えるのは正しくないとされています。焦って無理に始めるよりも、お子さんが楽しめる方法を選ぶことが英語教育を続けるうえでの大きなポイントになります。

※出典:英語情報Web(公益財団法人日本英語検定協会)池田周(愛知県立大学)「第23回 『臨界期』再考 - 発達段階に応じた学び方を」https://eigojoho.eiken.or.jp/education/2480/

音の聞き分けを重視するなら0〜3歳がゴールデンタイム

赤ちゃんは生まれた直後、母語にない音の違いも聞き分ける能力を持っています。 でも生後6〜12カ月ごろになると、日常的に耳にしない音を脳が「不要」と判断し始め、聞き分ける力が徐々に弱まるそうです。

英語特有の「L」と「R」の区別もこの時期に左右されると考えられているため、0〜3歳のうちに英語の音に触れておくと、母語にない音への感度を保ちやすくなる可能性があります。 ただし、音声や映像をただ流しているだけでは効果が出にくいこともわかっています。パパやママと一緒に、楽しみながら英語の音に触れることが、何より大切です。

※出典:Kuhl, P. K., Stevens, E., Hayashi, A., Deguchi, T., Kiritani, S., & Iverson, P.(2006)”Infants show a facilitation effect for native language phonetic perception between 6 and 12 months” Developmental Science, 9(2), F13–F21. https://ilabs.uw.edu/wp-content/uploads/Kuhl_etal_2006.pdf
※出典:Kuhl, P. K., Tsao, F. M., & Liu, H. M.(2003)”Foreign-language experience in infancy: Effects of short-term exposure and social interaction on phonetic learning” PNAS, 100(15), 9096–9101. https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.1532872100

本格的な学習は4〜6歳からでも十分に間に合う

0〜3歳に始められなかった方も、心配する必要はありません。4〜6歳は好奇心が旺盛で、英語を遊びとして取り入れれば楽しみながら自然に吸収できる時期です。

言語能力の中でも、音声的な側面は6歳ごろまでが身につきやすい時期だと紹介されることもありますが、ある年齢を過ぎたら習得できないという明確な境界線はなく、子どもの個性や環境によっても大きく異なるため、年齢に合った方法で楽しく始めてみましょう。

※出典:英語情報Web(公益財団法人日本英語検定協会)池田周(愛知県立大学)「第23回 『臨界期』再考 - 発達段階に応じた学び方を」https://eigojoho.eiken.or.jp/education/2480/

脳科学と臨界期仮説から見る英語教育の最適な時期

英語教育がいつからがベストかを考えるうえで、脳科学の知見は有力な判断材料です。ここでは代表的な研究や仮説をもとに、最適な時期を整理していきます。

臨界期仮説とは?言語習得に適した時期の考え方

臨界期仮説とは、「言語をスムーズに習得できる時期には限りがある」とする言語学の考え方です。 一定の年齢を過ぎてから新しい言語を学び始めた場合、ネイティブと同レベルの習得が難しくなるとされています。

これがいつ終わるのかについては、思春期前後とする説が多く紹介されています。ただし、脳の柔軟さはある時期を境にぱったり失われるわけではないため、目安と考えると良いでしょう。

始めた年齢が低いほうが有利だとする研究は多い一方、「○歳を過ぎたら習得できない」と言い切れる明確な線はまだ見つかっていません。文部科学省の会議でも、脳科学の研究成果をそのまま英語教育に結びつけるのは慎重であるべきとの見解が示されています。

※出典:文部科学省「資料3-2 言語獲得/学習の臨界期に関する補足メモ」https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/102/shiryo/attach/1345771.htm

赤ちゃんの脳は母語以外の音も聞き分ける力を持っている

ワシントン大学の研究によると、生後6〜8カ月ごろの赤ちゃんは母語にない音の違い(たとえばアメリカ英語の「L」と「R」)も聞き分けられることが確認されています。

ところが生後10〜12カ月ごろになると、耳にする機会が多い母語の音への感度はぐんと伸びる一方で、母語では使われない音への感度は少しずつ下がっていくことがわかりました。この研究ではアメリカ人と日本人の赤ちゃんを比較しており、生後6〜8カ月のころは両国の赤ちゃんが同じように聞き分けられていたのに、10〜12カ月になるとアメリカの赤ちゃんは音の判断力が伸び、日本の赤ちゃんは下がっていく、という違いが見られたそうです。

ただし、赤ちゃんが外国語の音を吸収するには、人と人とのふれあいが欠かせないこともわかっています。別の研究では、生後9カ月の赤ちゃんに中国語話者と対面で遊んでもらう時間を4週間(計12回)取ったところ、一度下がりかけていた中国語の音の聞き分け力が戻ってきたそうです。一方、まったく同じ内容をDVDや音声だけで聞かせた赤ちゃんには、同じような効果は見られませんでした。

※出典:Kuhl, P. K., Stevens, E., Hayashi, A., Deguchi, T., Kiritani, S., & Iverson, P.(2006)”Infants show a facilitation effect for native language phonetic perception between 6 and 12 months” Developmental Science, 9(2), F13–F21. https://ilabs.uw.edu/wp-content/uploads/Kuhl_etal_2006.pdf
※出典:Kuhl, P. K., Tsao, F. M., & Liu, H. M.(2003)”Foreign-language experience in infancy” PNAS, 100(15), 9096–9101. https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.1532872100

脳の発達が早い時期に英語に触れておくメリット

子どもの脳は生まれたあと急速に発達し、使う音を強めたり、使わない音を整理したりする「刈り込み」という働きがあると言われています。この時期に英語の音に親しんでおくと、その後の学習がスムーズになりやすいと考えられます。言語能力のなかでも音声的な面は6歳ごろまでが学習・習得に適した時期とされているため、早い時期から英語の音に触れておくことは理にかなった取り組みと言えるでしょう。

ただし「6歳を過ぎたら手遅れ」ということはなく、6歳以降でもその子に合った方法で学べば十分に英語力を伸ばしていけるでしょう。

※出典:英語情報Web(公益財団法人日本英語検定協会)池田周(愛知県立大学)「第23回 『臨界期』再考 - 発達段階に応じた学び方を」https://eigojoho.eiken.or.jp/education/2480/

小学校の英語必修化と家庭学習の重要性

2020年度の学習指導要領改訂により、小学3・4年生では「外国語活動」が必修化され、5・6年生では英語が正式な教科になりました。授業時間は小学3・4年生で年間35時間、小学5・6年生で年間70時間が設定されています。

ただし、学校の授業だけで十分な英語力が身につくか不安に感じる方もいらっしゃるのも事実。就学前からおうちで英語に親しんでおくと、学校での英語学習がよりスムーズになり、学びの効果アップが期待できます。

※出典:文部科学省「平成29・30・31年改訂学習指導要領(本文、解説)」https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/1384661.htm

0歳から英語教育を始めるのは意味がない?不安を徹底検証

0歳 英語 意味ない」と検索する方が一定数いるように、早期英語教育への不安を抱える保護者は意外と多いものです。

「0歳から英語は意味ない」と言われる理由

0歳児への英語教育に否定的な意見の多くは、「言葉の意味を理解できない月齢で英語を聞かせても効果がない」という考えに基づいています。 たしかに0歳の赤ちゃんが英単語の意味を理解するのは難しいでしょう。 しかし前述のとおり、赤ちゃんの脳は音を聞き分ける段階にあり、「意味の理解」と「音への慣れ」は別の話です。

0歳の英語教育は「英語を覚えさせる」のではなく、「英語の音に耳を慣らしておく」ことに意味があると考えられています。ワシントン大学の研究では、生後9カ月の赤ちゃんでも外国語話者と対面でふれあうと、外国語の音を聞き分ける力が伸びたと報告されています。ただし、同じ内容をDVDや音声だけで聞かせた場合は同じ効果が見られなかったため、かけ流しや映像だけでなく、人とのやりとりの中で英語に触れることが大切だと考えられています。

※出典:Kuhl, P. K., Tsao, F. M., & Liu, H. M.(2003)”Foreign-language experience in infancy: Effects of short-term exposure and social interaction on phonetic learning” PNAS, 100(15), 9096–9101. https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.1532872100

▼「0歳から英語は意味ない」と言われる主な理由

日本語への悪影響(セミリンガル)は心配しすぎなくてよい

早期英語教育に反対する意見としてよく聞かれるのが、「日本語も英語も中途半端になってしまうのでは?」という「セミリンガル(ダブルリミテッド)」と呼ばれるリスクです。

しかし、「セミリンガル」という言葉は現在の言語教育研究ではほとんど使われていません。また、この概念が想定しているのは、海外で暮らし母語に十分触れられない子どもたちのケースです。

日本で日本語を主に使う家庭で育つ場合は、日本語に触れる機会が圧倒的に多いため、英語教材などの利用によって日本語の発達が妨げられる可能性は低いと考えられています。

※出典:静岡大学教育学部研究報告「ダブルリミテッド言説に対する批判的論考」(2014)https://shizuoka.repo.nii.ac.jp/record/6381/files/45-0001.pdf

0歳からの英語で大切なのは「量より関わり方」

0歳から英語を始める場合、1日何時間も英語漬けにする必要はありません。 大切なのは、親子のコミュニケーションや信頼関係を最優先にしたうえで、遊びの延長として英語に触れる機会を作ることです。

ワシントン大学の研究では、週に数回・4週間にわたって外国語話者と対面で遊ぶ体験をした赤ちゃんが、一度下がりかけていた音の聞き分け能力を取り戻したことが確認されています。英語の歌を一方的にかけ流すだけでなく、親子で一緒に絵本を見ながら英語の音を聞いたり、子どもの反応に応じて語りかけたりするなど、やりとりがある方法で取り入れるとよいでしょう。

※出典:Kuhl, P. K., Tsao, F. M., & Liu, H. M.(2003)”Foreign-language experience in infancy” PNAS, 100(15), 9096–9101. https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.1532872100

年齢別|子どもの英語教育の始め方とおすすめ学習法

子どもの英語教育は、年齢ごとに脳の発達段階と興味関心が異なるため、時期に合った方法を選ぶことで効率が上がります。

※以下の年齢別学習法は、幼児教育・英語教育の現場で広く実践されている一般的な手法に基づく推奨です。

0〜2歳|英語の音に慣れる時期の過ごし方

0〜2歳はまだ言葉を話し始める前の段階ですが、耳から入る情報を驚くほど吸収している時期です。 この時期はリスニング環境を整えることを意識し、英語の歌やリズム遊びを親子で楽しむ形で日常に取り入れてみてください。

研究では、対面でのやりとりを伴う外国語体験のほうが、音声や映像を一方的に聞かせるよりも効果が高いことが示されています。DVD教材や音声つき絵本を使う場合も、親子で一緒に視聴しながら声をかける形が理想的です。

▼0〜2歳におすすめの学習法

3〜4歳|遊びの中で英語を楽しむ段階

3〜4歳は語彙が急増し、「なぜ?」「なに?」と好奇心が旺盛になる時期です。 歌やダンス、ごっこ遊びなど体を動かしながら英語に触れると、楽しさと結びついて記憶に定着しやすくなります。 英語を「勉強」として押しつけず、遊びの一部として自然に溶け込ませることが長続きの秘訣です。

▼3〜4歳におすすめの学習法

5〜6歳|読み書きの基礎とアウトプットを増やす時期

5〜6歳になると文字への関心が高まり、アルファベットの読み書きを始められる段階に入ります。 これまで耳から吸収してきた英語を「自分の口から出す」機会を増やすと、英語力がぐんと伸びやすい時期です。 オンライン英会話やAIアプリを活用して、ネイティブの発音に触れながら発話練習を取り入れるとさらに効果が高まります。

▼5〜6歳におすすめの学習法

小学生以降|英語学習を習慣化するコツ

小学校の英語授業が本格化する時期ですが、学校だけでは接触時間が限られるため、家庭での学習を「毎日の習慣」に組み込むことがポイントです。 1日15〜20分でも続ければ年間で約100時間の学習量に達し、英語力が着実に定着していきます。 好きなテーマの教材を選んだり、英検などの目標を設定したりすることで、モチベーションも維持しやすくなるでしょう。

※出典:Kuhl, P. K., Tsao, F. M., & Liu, H. M.(2003)”Foreign-language experience in infancy” PNAS, 100(15), 9096–9101. https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.1532872100

▼小学生以降の学習習慣化のコツ

英語教育を無理なく続けるための環境づくり

年齢に合った方法がわかっても、続けられなければ成果にはつながりません。英語教育でもっとも差がつくのは「毎日触れる環境」を家庭の中に作れるかどうかです。

毎日の接触時間を確保することが継続のカギ

英語教室に週1回通う場合、英語の接触時間は年間で40時間程度です。 一方、自宅で毎日20分でも英語に触れる時間を作れば、年間約120時間の確保が可能です。 とくに0〜3歳のお子さんは、慣れた自宅環境のほうがリラックスして英語を吸収しやすいため、送迎なしで取り組める「おうち英語」は続けやすい方法のひとつでしょう。

▼家庭で英語の接触時間を確保するメリット

よくある質問|子どもの英語教育の開始時期に関する疑問

英語教育を始めるのが遅かった場合でも取り返せる?

脳が新しいことを吸収する柔軟性は年齢とともに変化していきますが、言語の学習に「手遅れ」はないと考えられています。小学校高学年や中学生から始めても、育ってきた論理的思考力を活かすことで効率よく学べるでしょう。

ただし、音声的な側面については6歳ごろまでが学習・習得に適した時期とされているため、後から始める場合はリスニング教材やオンライン英会話で意識的に「聞く・話す」時間を増やすとよいかもしれません。

※出典:英語情報Web(公益財団法人日本英語検定協会)池田周(愛知県立大学)「第23回 『臨界期』再考 - 発達段階に応じた学び方を」https://eigojoho.eiken.or.jp/education/2480/

親が英語を話せなくても子どもの英語教育はできる?

結論から言えば、親の英語力は必ずしも必要ではありません。 英語の教材やアプリを活用すれば、ネイティブの音声を子どもに直接届けられるため、親が発音を教える必要はほとんどないのです。

近年充実しているネットの教材などを活用するのも良い方法でしょう。むしろ大切なのは、子どもが英語に触れる時間を毎日確保し、「楽しい」と感じられる環境を整えてあげること。教材を使う際も、親が一緒に視聴したり声をかけたりすることで、子どもの学びはより深まります。

英語教室とおうち英語教材はどちらがよい?

英語教室は対面でのコミュニケーション体験が得られる一方、通う頻度によっては英語への接触時間が不足しがちです。 研究では対面での社会的なやりとりが乳幼児の音素学習に効果的であることが示されており、英語教室にはこの点で大きなメリットがあります。

一方、おうち英語教材は毎日の取り組みで接触時間を確保しやすく、送迎の負担もありません。 理想的なのは両方を併用する方法ですが、まず始める一歩としては手軽に取り組めるおうち英語教材から試してみてはいかがでしょうか。

まとめ|子どもの英語教育は早いほど有利だが継続が鍵

子どもの英語教育は、続けることが何より大切です。子どもが楽しめる取り組み方を見つけて、ママパパも一緒に英語に触れる時間を作ってはいかがでしょうか。

▼この記事のまとめ