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思考力を鍛える方法を年齢別に解説|小学生から大人まで使える実践法

思考力を鍛える方法を年齢別に解説|小学生から大人まで使える実践法

目次

「考える力をもっと伸ばしたい」「子どもの思考力を育てたいけれど、何から始めればいいかわからない」と感じたことはないでしょうか。

思考力を鍛えるには、年齢や目的に合った方法を選び、日常的にトレーニングを積み重ねることが近道です。この記事では、大人向け・小学生向けそれぞれの実践法に加え、実際に挑戦できる問題例まで幅広く取り上げます。

記事の監修者:鈴木 邦明

記事の監修者:鈴木 邦明(すずき くにあき)
【実績】

公立小学校で22年間勤務後、大学教員として教育・保育分野の研究・指導に従事。
子どもの健康、運動遊び、学級経営、保護者対応を専門とし、研修・講演・執筆活動も多数。
教育現場の経験を活かし、子どもと家庭を支える情報発信を行っています。

思考力とは?鍛えることで得られる3つのメリット

思考力は学力とは異なる「考え抜く力」を指し、正しいトレーニングを積めば年齢を問わず伸ばせるのが特徴です。

思考力とは「知識を活用して答えを導き出す力」

思考力とは、持っている知識や情報を組み合わせ、自分なりの答えを導き出す力を指します。単に知識を覚えるだけでは身につかず、「なぜそうなるのか」「ほかに方法はないか」と考えるプロセスを経て初めて鍛えられるものです。

思考力は6つの要素の組み合わせで機能する

思考力はひとつの能力ではなく、複数の要素が組み合わさって機能しています。たとえばZ会では、思考力を構成する要素を次の6つに分類し、教材設計に活かしています。

※出典:Z会「考える力を身につける!小学生向け思考力講座・書籍のご案内」https://www.zkai.co.jp/el/thinking/

▼思考力を構成する6つの要素

思考力を鍛えると得られる3つのメリット

思考力を鍛えることで、日常生活から仕事・学習まで幅広い場面でプラスの変化が期待できます。まず、問題解決能力が高まり、複雑な課題にも落ち着いて取り組めるようになるでしょう。次に、自分の考えを論理的に伝える力が伸びるため、コミュニケーションの質も上がります。さらに、情報の真偽を見極める「情報リテラシー」が身につき、AIやインターネットの情報に振り回されにくくなるのもメリットです。

▼思考力を鍛える3つのメリット

大人の思考力を鍛える方法7選|今日から始めるトレーニング

大人の場合、日常の習慣やちょっとした工夫で思考力トレーニングを始められるため、特別な準備は必要ありません。

※以下の方法は、ビジネスや教育の現場で広く実践されているトレーニング手法です。

「なぜ?」を繰り返して思考を深掘りする

日常で何かに疑問を感じたとき、「なぜ?」を5回繰り返してみてください。トヨタ式の「なぜなぜ分析」として知られるこの手法は、表面的な原因から根本原因へとたどり着くための思考訓練です。

たとえば「プレゼンがうまくいかなかった」に対して「なぜ?」を重ねると、「準備時間が足りなかった」→「優先順位のつけ方に問題があった」と本質に近づけるでしょう。この習慣が定着すると、問題の表面だけでなく構造を見抜く力が養われます。

出典:『トヨタ生産方式――脱規模の経営をめざして』大野耐一(ダイヤモンド社、1978年)

読書で多様な視点と語彙力を養う

読書は思考力を鍛える方法のなかでも、特に手軽に始められる習慣のひとつです。教育心理学の研究では、読書量が多い人ほど語彙力が高い傾向が繰り返し確認されています。

本を読むことで語彙力が増え、複雑な文章や問題を正確に理解する土台ができあがります。

※出典:猪原敬介(2026)『科学的根拠(エビデンス)が教える子どもの「すごい読書」』日経BP https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000137-I9784296002450

アウトプットで思考を言語化するクセをつける

インプットだけでは思考力は伸びにくく、学んだ内容を自分の言葉で表現するアウトプットが欠かせません。日記やSNS投稿、メモ書きなど形式は問わないので、考えたことを文字にする習慣を持ちましょう。

赤羽雄二氏が提唱する「ゼロ秒思考」のように、A4用紙に1分間で思考を書き出すトレーニングは、頭の中を整理する力を短期間で高めてくれるとされています。

※出典:赤羽雄二(2013)『ゼロ秒思考――頭がよくなる世界一シンプルなトレーニング』ダイヤモンド社 https://www.diamond.co.jp/book/9784478020999.html

フェルミ推定で仮説思考力を鍛える

フェルミ推定とは、正確なデータがない状態で概算の答えを導き出す思考法を指します。「日本にピアノの調律師は何人いるか?」のような問いに対し、手持ちの知識と論理だけで数字を推定していくのがポイントです。

このトレーニングを繰り返すと、「結論から考える」「全体を俯瞰して分解する」という思考の型が身につきやすくなります。コンサルティング企業やIT企業の採用面接でも出題されるほど、ビジネスの現場で高く評価されている思考法です。

ディベートや議論で多角的に考える力を養う

自分と異なる意見に触れるディベートや議論は、多角的な思考力を鍛えるのに効果的な方法です。賛成・反対どちらの立場でも論理を組み立てる練習をすると、一方的な見方に偏るクセを修正できます。

職場のミーティングや友人との会話で「あえて反対の立場から考えてみる」だけでも、視野が一段広がるのを実感できるはずです。

フレームワークを使って情報を整理する

ビジネスで使われるフレームワークは、情報を体系的に整理し、抜け漏れなく考えるための思考ツールです。代表的なものに、課題を枝分かれで分解するロジックツリーや、情報の重複・抜け漏れを防ぐMECE(ミーシー)、自社・競合・顧客の3軸で状況を把握する3C分析などがあります。

▼代表的な思考フレームワーク

フレームワーク使いどころ
ロジックツリー課題を分解して原因を特定したいとき
MECE情報の重複・抜け漏れをなくしたいとき
3C分析自社・競合・顧客の関係を整理したいとき

ボードゲームやパズルで楽しく思考力を刺激する

チェスや将棋、数独などのボードゲームやパズルは、遊びながら思考力を刺激できるツールとして人気です。

約1万人を対象にした2024年の研究では、パズルやボードゲームを楽しむ機会が多い人ほど、考える力や推理する力などの認知機能が高い傾向にあることが報告されています。

遊びを通じて頭を使う習慣は、思考力を楽しく刺激できる身近な方法のひとつです。

※出典:Nichols, E. S. ほか(2024)「A design for life: Predicting cognitive performance from lifestyle choices」PLOS ONE https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0298899

小学生の思考力を鍛える方法|親ができる5つのサポート

子どもの思考力は、特別な教材を用意しなくても親の日々の関わり方ひとつで大きく伸ばせる可能性を秘めています。

※以下の方法は、家庭教育や幼児教育の現場で広く実践されている関わり方です。

「なんでだと思う?」と問いかけて考える習慣をつくる

子どもが「なんで空は青いの?」と聞いてきたとき、すぐに答えを教えるのではなく「なんでだと思う?」と問い返してみてください。この問いかけが、子ども自身の頭で考える習慣の第一歩になります。

正解を求める必要はなく、自分なりの仮説を立てるプロセスそのものが思考力のトレーニングです。日常の何気ない場面を「考えるきっかけに変える」だけで、思考力を鍛える小学生向けの取り組みになります。

答えをすぐに教えず考える時間を確保する

子どもが問題に悩んでいるとき、「早く答えを出しなさい」と急かすのは逆効果になりかねません。じっくり考えられる時間をとり、子どもが沈黙していても焦らず見守りましょう。

難しそうに見えても、ヒントを小出しにしながら自力で答えにたどり着く体験を積ませることが、粘り強く考え抜く力につながります。また、答えの正誤に関わらず、よく考えたことを認めることも子どもの思考力を伸ばす上で大切な要素です。

日常の買い物や料理で比較・計算を体験させる

スーパーの買い物は、思考力を自然に鍛えられる絶好の機会です。「トマトが3種類あるけど、どれがお得かな?」と比較を促すと、情報整理力や計算力が同時に養われます。

料理の手伝いも有効で、「材料を半分の量にするには?」と考えさせると、分量の計算を通じて応用力が身につくでしょう。こうした日常体験こそが、教科書だけでは得られない「生きた思考力」を育てるのです。

ニュースや本の感想を親子で話し合う

ニュースを見た後や読書のあとに、「どう思った?」「自分ならどうする?」と感想を話し合ってみてください。自分の考えを言葉にする過程で思考が整理され、他者の意見を聞くことで新たな視点も得られます。

パパやママが「自分はこう思うんだけど」と意見を共有するのも効果的で、対話を通じて論理的に伝える力が自然と伸びるでしょう。

思考力を鍛える問題集やドリルを活用する

家庭での声かけに加え、思考力を鍛える問題が収録された専用ドリルを取り入れると効果的です。教科の枠をこえた思考力ワークなら、パズル感覚で楽しみながら論理的判断力や試行錯誤力を養えるのも魅力のひとつ。問題を解いたあとは「どうやって考えた?」と過程を聞いてあげると、考える力がさらに定着しやすくなります。

文部科学省の学習指導要領改訂でも「思考力・判断力・表現力」の育成が重視されており、家庭での取り組みは学校教育を補完する意味でも有効です。

※出典:文部科学省「平成29・30・31年改訂学習指導要領(本文、解説)」https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/1384661.htm

思考力を鍛える問題に挑戦してみよう

ここでは、論理・整理・発想の3タイプから思考力を鍛える問題を1つずつ取り上げるので、ぜひ挑戦してみてください。

条件を整理して正解を導く論理的判断力の問題

【問題】A、B、Cの3人がレースをしました。以下の情報から順位を当ててください。①AはCより先にゴールした ②BはCより先にゴールした ③Aは1位ではなかった

条件を整理すると、①と②からAとBはどちらもCより先にゴールしているため、Cは3位と確定します。さらに③から「Aは1位ではない」ため、1位はBとなります。答えは1位B、2位A、3位Cです。こうした「条件の組み合わせ」を丁寧に検討する作業が、論理的判断力を磨いてくれます。

重なりを見抜いて計算する情報整理力の問題

【問題】犬を飼っている人が11人、猫を飼っている人が9人、両方飼っている人が3人います。全員が犬か猫の少なくともどちらかを飼っているとすると、全体は何人でしょうか。

円を重ねて集合の関係を表すベン図を使い、重なりを整理すると11+9−3=17人が正解です。「情報を図や表で視覚化する」という習慣は、複雑な問題を解きほぐすときに欠かせないスキルになります。

自由な発想で物語をつくる試行錯誤力の問題

【問題】「りんご」と「電車」という2つの言葉を使って、短い物語を作ってください。

一見つながりのない言葉同士を結びつけるには、連想力とジャンプする思考力が必要です。「りんごを持って電車に乗った女の子が、隣のおばあさんにおすそ分けした」など、自由にストーリーを組み立ててみましょう。正解がない分、何通りも試せるのがこのタイプの問題の良さです。

よくある質問|思考力トレーニングの疑問を解消

思考力は大人になってからでも鍛えられる?

鍛えられます。大人になってからでも、読書や「なぜ?」の習慣、フェルミ推定など、日常に取り入れやすい方法から思考力を伸ばしていけます。

思考力と学力はどう違う?両者の関係とは

学力はテストで測れる知識量や計算力を指すのに対し、思考力は知識を応用して新しい答えを生み出す力を指します。両者は別物ですが、思考力が高まると文章題や応用問題の正答率も上がりやすく、結果として学力の底上げにもつながるケースが少なくありません。

まとめ|年齢に合った方法で思考力を着実に伸ばそう

思考力を鍛える方法は、大人なら「なぜ?」の深掘りや読書・アウトプットなどの習慣づくりが基本です。小学生の場合は、親が問いかけや見守りを通じて「自分で考える機会」をつくることが出発点です。楽しみながら思考力を伸ばしていきましょう。

▼この記事のまとめ

  • 思考力は6つの要素で構成され、トレーニングで伸ばせる
  • 大人は日常の習慣に「なぜ?」や読書、フェルミ推定などを取り入れるのが効果的
  • 小学生は親の問いかけや日常体験を通じて考える習慣をつくることが大切
  • 問題集やドリルを活用すると、楽しみながら思考力を鍛えられる