3歳の言葉の育ちには大きな個人差があり、「何語話せたら正常」という一律の基準はありません。こども家庭庁の令和5年乳幼児身体発育調査でも、初めての言葉が出る時期は0歳11か月〜1歳未満で21.3%、1歳6〜7か月未満で91.1%と、話し始めだけで半年以上の幅があることが示されています。
この記事では、3歳ごろの言葉の発達の目安と遅いと感じる主なケース、家庭でできる働きかけ、安心して頼れる相談先まで紹介します。
※出典:こども家庭庁「令和5年乳幼児身体発育調査 調査結果の概要」https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/b32105e4-fa26-42eb-97d0-2e5cbaef703a/25a6391e/20241225_policies_boshihoken_r5-nyuuyoujityousa_10.pdf
記事の監修者:代田 佳恵(しろたよしえ)
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3歳の言葉の発達目安はどのくらい?
まずは3歳ごろの言葉の育ちの全体像と、前提として知っておきたい個人差の大きさを確認しましょう。
3歳ごろは会話のキャッチボールが始まる時期
3歳ごろは語彙がぐんと増え、「なんで?」「これなに?」と質問しながら、簡単な会話のやり取りができ始める時期とされています。二語文・三語文をつなげて、自分の体験や気持ちを伝えようとする姿も見られるようになります。ただしこれはあくまで全体的な傾向で、到達の早さはその子によってさまざまです。目安を「合格ライン」ではなく「進む方向」として捉えて、日々の変化を前向きに見守りましょう。
話し始めの時期はもともと個人差が大きい
こども家庭庁の令和5年乳幼児身体発育調査では、初めての言葉が出る時期だけでも大きな幅があることがわかります。1歳になる前に話し始める子が2割ほどいる一方で、9割を超えるのは1歳6か月〜7か月になってからです。スタートにこれだけ差があるのですから、3歳時点の語彙や文の長さに差があるのも自然なことといえます。
▼一語以上の言葉を話す子の割合
| 月齢 | 割合 |
| 0歳11か月〜1歳未満 | 21.3% |
| 1歳0〜1か月未満 | 36.5% |
| 1歳2〜3か月未満 | 61.7% |
| 1歳6〜7か月未満 | 91.1% |
※出典:こども家庭庁「令和5年乳幼児身体発育調査 調査結果の概要」https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/b32105e4-fa26-42eb-97d0-2e5cbaef703a/25a6391e/20241225_policies_boshihoken_r5-nyuuyoujityousa_10.pdf
言葉が一気に増える爆発期は前兆がある
ためこんだ言葉が一気にあふれ出す「言葉の爆発期」を、3歳前後に迎える子も少なくないと言われています。前兆としてよく挙がるのは、大人の言葉をよく真似する、指差しや視線で伝えようとする行動が増えるといった姿です。話す言葉が少なくても、聞いて理解する力が育っていれば、言葉は内側に蓄積されています。今は「ためる時期」かもしれないと考えると、急かさずに待つ余裕が生まれるのではないでしょうか。

3歳で言葉が遅いと感じる主なケース
ひと口に「言葉が遅い」といっても中身はさまざまです。よくある3つのケースに分けて見ていきます。
単語は出るのに二語文・三語文が出ない
単語は多いのに「ワンワン きた」のような二語文につながらないケースは、3歳前後の発達相談でよく挙がる悩みのひとつです。文をつくるには、単語を覚えるのとは別の「組み立てる力」が必要で、その育ちには個人差があります。
大人が「ワンワンが来たね、大きいね」と文の形にして返し続けることが、組み立ての見本になります。単語が増え続けているなら、力は着実にたまっていると考えてよいでしょう。
発音が不明瞭で家族以外に聞き取れない
3歳ごろは口や舌の動きが発達の途中にあるため、サ行やラ行などがはっきりしないのは自然なことです。ただ、家族には通じるのに先生や友だちに伝わらないと、本人がもどかしさを感じる場面も出てきます。発音そのものを訂正するより、「〇〇だね」と正しい音をさりげなく聞かせるほうが、楽しく学べて効果的です。聞き取れない場面が多く本人も困っているようなら、後述の相談先に話してみると安心できます。
言葉の理解はあるのに自分から話さない
「持ってきて」が通じるなど理解は十分なのに、自分からはあまり話さないという子もいます。性格的に慎重で、頭の中にためてから話したいタイプの子に見られやすい姿です。理解する力は言葉の土台そのものなので、言葉が通じているのは大きな安心材料になります。話すことを急かさず、本人が話したくなった瞬間にゆっくり聞いてあげる姿勢が、言葉を引き出す近道です。
家庭でできる言葉を促す関わり方
特別な訓練をしなくても、毎日の会話の質を少し変えるだけで、言葉が育つ環境はつくれます。
子どもの言葉に一語足して返してあげる
家庭でできるいちばん手軽な方法は、子どもが言った言葉に一語だけ足して返すことです。「ブーブー!」と言ったら「赤いブーブーだね」と返すように、今の力より半歩先の文を聞かせます。子どもは自分の発した言葉が受け止められた喜びと、新しい表現のお手本を同時に得られます。会話のたびにできる方法なので、習慣にしてしまうのがおすすめです。
▼一語足しの例
- 「できた」→「ひとりでできたね、すごい」
- 「ワンワン」→「ワンワンが走ってるね」
- 「ジュース」→「冷たいジュース飲もうか」
言い直しをさせず楽しい会話を優先する
発音や言い間違いをその場で訂正させるのは、かえって逆効果になりやすい関わりです。間違いを指摘され続けると、「話すと直される」と感じて口数が減ってしまうことがあります。子どもの言葉はそのまま受け止めて、大人が正しい形で言い返すだけで十分にお手本は伝わります。「上手に話す」より「話すと楽しい」を積み重ねることが、結局はいちばんの近道になります。
▼助産師からのアドバイス
何度も注意されると緊張してチックのような症状が出ることもありますから「会話は楽しい」と感じてもらうことが大切ですね。
絵本と言葉遊びで話したい気持ちを育てる
絵本の読み聞かせは、日常会話に出てこない言葉に触れられる、語彙を育てるのにぴったりの習慣です。読みっぱなしにせず、「次はどうなると思う?」と問いかけると、考えて話す練習にもなります。リズムのある言葉遊びは、遊び感覚で口を動かす機会を増やしてくれます。好きな手遊びやリズム遊びを繰り返し続けてみましょう。
▼3歳と楽しめる言葉遊び
- まねっこしりとり(親が言った言葉を真似してつなぐ)
- 「これなあに?」クイズ(散歩中に見つけたものを当てる)
- 手遊び歌・リズム遊び
言葉の遅れが心配なときの相談先
身近に無料で専門家へつながれる窓口があります。不安は一人で抱え込まず、相談してみましょう。
3歳児健診は専門家に相談できる機会
市区町村が実施する3歳児健診は、言葉の発達について専門家に直接相談できる絶好の機会です。日ごろ気になっている様子をメモにまとめて持参すると、限られた時間でも要点を伝えられます。健診で「様子を見ましょう」と言われた場合も、その後の変化を記録しておくと次の相談がスムーズです。健診を「評価される場」ではなく「味方を増やす場」として活用してみてください。
健診以外でも相談できる窓口がある
健診のタイミングを待たなくても、言葉の発達はいつでも相談できます。通っている園の先生は集団の中での様子を知る心強い相談相手ですし、地域の窓口なら専門職へのつなぎ役にもなってくれます。早めに相談したからといって何かが決めつけられるわけではなく、家庭でできる工夫を教えてもらえる場と考えて大丈夫です。
▼主な相談先
- 市区町村の子育て相談窓口・保健センター
- かかりつけの小児科
- 通っている保育園・幼稚園の先生
よくある質問|3歳の言葉について
赤ちゃん言葉や宇宙語は直したほうがいい?
「ブーブー」のような赤ちゃん言葉や、意味の取れない宇宙語を無理に直す必要はありません。赤ちゃん言葉は発音しやすい形で言葉を増やしている途中経過であり、語彙が育てば自然と置き換わっていきます。宇宙語も、話したい気持ちがあふれている前向きなサインです。大人は正しい言い方をさりげなく聞かせながら、伝えようとする姿勢そのものをほめてあげてください。
男の子は言葉が遅いというのは本当?
「男の子は言葉が遅め」と言われることはありますが、性別だけで判断できるものではありません。同じ性別でも個人差のほうがはるかに大きく、言葉が早い男の子もゆっくりな女の子もいます。「男の子だから大丈夫」と思い込んで気がかりを放置すると、相談の機会を逃してしまうおそれもあります。性別ではなく、理解力や伝えようとする姿などその子自身の様子で見てあげましょう。
テレビや動画は言葉の発達によくない?
テレビや動画が一律に悪いわけではなく、使い方しだいです。一方的に流れる映像を長時間見るだけでは、言葉のやり取りの練習にはなりにくいとされています。一緒に見ながら「ワンワンいたね」と声をかければ、映像も会話のきっかけとして活用できます。視聴時間のルールを決めたうえで、見たあとに内容を話す時間をつくると学びにつながります。
言葉が遅いのは何歳から相談したほうがいい?
相談に「早すぎる」はありません。年齢に関係なく、気になったときが相談のタイミングです。3歳児健診は節目の機会ですが、気になる場合は健診前に、保健センターや園の先生に相談してみましょう。
きょうだいや周りの子と比べてしまうときは?
比べる相手を「よその子」から「少し前のわが子」に変えると、見える景色が変わります。先月は単語だけだったのに今日は二語文が出た、名前を呼ばれて返事ができるようになったといった小さな変化は、どの子にも必ず起きています。それでも比べて落ち込む日があるのは自然なことなので、その気持ちごと健診や相談窓口で話してみてください。
まとめ|3歳の言葉はその子のペースで育つ
3歳の言葉の育ちは個人差が大きく、目安はあっても「遅れ=問題」とは限りません。
▼この記事のまとめ
- 3歳ごろは会話が始まる時期だが、話し始めから個人差は大きい
- 二語文が出ない・不明瞭・話さないには、それぞれ自然な背景がある
- 家庭では「一語足し」と絵本・言葉遊びで話したい気持ちを育てる
- 心配なときは3歳児健診や地域の窓口で早めに相談してよい
言葉がゆっくりでも、毎日の「これなあに?」に応え、絵本を一緒に開いてきた時間は、確実に糧になります。今日は単語だけだった子が、来月にはうれしそうに二語文をつなげているかもしれません。周りと比べて焦る日があっても大丈夫です。「うちの子はうちの子のペースで育っている」と信じて、話したくなる時間を一緒に楽しんでいきましょう。