2歳くらいから急に手が出るようになり、戸惑うママが少なくありません。
2歳が叩いてくるのは、しつけのせいでも性格のせいでもありません。気持ちに言葉がまだ追いつかない、この時期ならではの表現です。なぜ叩くのか理由がわかれば親の対応も変わり、叩く行動は少しずつ言葉に置き換わっていきます。この記事では、2歳が叩く理由やその場でできる対応3ステップ、避けたいNG対応までまとめました。毎日叩かれて疲れているという方こそ、ぜひ参考にしてみてください。

記事の監修者:代田 佳恵(しろたよしえ)
【実績】
延べ2万人以上の親子をサポート
渋谷区を中心に活動している出張専門の助産師。
妊娠から卒乳までのサポートを提供し、お宅に伺って母乳相談、産後ケア、育児相談など行っています。
産前産後ヨガ、ベビーマッサージクラスなども開催してます。
2歳が叩いてくるのはなぜ?
2歳の「叩く」の裏には、この時期特有の3つの背景があります。理由がわかれば対応の迷いが減ります。
気持ちに言葉が追いつかず手が先に出る
2歳が叩くいちばんの理由は、伝えたい気持ちの大きさに言葉の力がまだ追いついていないことです。「やめて」「貸して」「こっち見て」と言いたくても、とっさに言葉が出ず、手が先に動いてしまいます。叩くのは攻撃というより、言葉の代わりの不器用なメッセージ。言葉で伝える力が育つにつれて、手が出る場面は自然と減っていきます。
「自分でやりたい」気持ちが強まるから
イヤイヤ期と重なる2歳前後は、「自分でやりたい」「思いどおりにしたい」という気持ちが急に強くなる時期です。やりたいことを止められたとき、あふれた気持ちのぶつけ先が「叩く」という行動になってしまうことがあります。癇癪とセットで手が出る場合も、根っこにあるのは成長の証である自己主張です。「反抗」ではなく「主張の練習中」と捉えると、受け止め方が変わってきます。
笑いながら叩くのは遊びと注目引きのサイン
笑いながら叩いてくる場合は、怒りではなく「遊んでほしい」「こっちを見てほしい」のサインがほとんどです。叩いたときの親の「痛い!」という反応が面白くて、遊びとして繰り返していることもよくあります。本人に悪気はなく、関わりたい気持ちの表れなので、深刻に受け止めなくて大丈夫です。ただし「叩けばかまってもらえる」と学習させないために、後述の対応で別の関わり方に置き換えていきましょう。
叩かれたときの対応3ステップ
その場の対応は「止める→伝える→言葉を渡す」の順で、短くシンプルに行うのが基本です。
手を止めて短く「叩かないよ」と伝える
叩かれたら、まず子どもの手をやさしく止めて、目を見て短く「叩かないよ」と伝えます。2歳児に長い説明は届かないため、伝えるのはひと言で十分です。低く落ち着いた声で言うほうが、大声よりもかえって真剣さが伝わります。毎回同じ言葉・同じトーンで繰り返すことが、理解への近道です。
▼その場の基本3ステップ
- 手を止める(払いのけず、包むように止める)
- 目を見て「叩かないよ」「痛いよ」と短く伝える
- 落ち着いたら気持ちを言葉にして返す
▼助産師からのアドバイス
お友達をたたいてしまうときなどは、早くやめさせたいとつい大きな声を出してしまいそうになりますが、そんなときもまずは冷静に行為だけを止めましょう。

叩きたかった気持ちを言葉にして返す
行動を止めたあとは、「おもちゃ取られて嫌だったんだね」と叩きたかった気持ちを代弁してあげます。こども家庭庁の「はじめの100か月の育ちビジョン」でも、不安なときに身近な大人が寄り添い、安心感をもたらす経験の繰り返しが「安心」という土台を築くとされています。
気持ちを受け止めたうえで「そういうときは『やめて』って言おうね」と言葉のお手本を渡すと、叩く代わりの手段が少しずつ育ちます。行動はダメ、気持ちはOKという線引きを毎回そろえることがポイントです。それでも同じことを繰り返しますので、地道に淡々と伝えていく根気が必要です。
※出典:こども家庭庁「幼児期までのこどもの育ちに係る基本的なビジョン(はじめの100か月の育ちビジョン)」https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/6e941788-9609-4ba2-8242-42f004f9599e/e8bc8f9f/20230928_policies_kodomo_sodachi_11.pdf
笑いながら叩くときは反応を小さくする
遊びや注目を引くために叩いてくるときは、大きなリアクションを返さないことがいちばんの対応です。「痛い!」と騒ぐほど、子どもには楽しい遊びとして記憶されてしまいがちです。静かに手を止めて「叩くのはおしまい」とだけ伝え、代わりにタッチやくすぐり遊びなど、叩かなくても関われる遊びに誘導しましょう。
「叩く→盛り上がる」の流れを「別の遊び→盛り上がる」に置き換えるイメージです。

叩く回数を減らす日常の関わり方
その場の対応だけでなく、日々の関わり方を見直すことも、叩く行動を減らす近道になります。。
叩かずに伝えられた場面をすぐほめる
叩く行動を減らす近道は、叩かなかった瞬間を見つけてすぐにほめることです。「『貸して』って言えたね!」と認められた経験は、叩くよりも言葉のほうが伝わるという学びになります。叱る回数よりほめる回数が多くなると、子どもの行動は変わりやすくなります。つい叩いた場面ばかりに目が向きがちですが、できている場面こそ注目してあげてください。
眠い・空腹などイライラの種を減らす
叩く行動が出やすいタイミングを振り返ると、眠い・おなかがすいた・刺激が多すぎたなど、機嫌の崩れる条件が重なっていることがよくあります。お昼寝や食事の時間を整えるだけで、手が出る回数が減る場合も少なくありません。
「いつ叩くことが多いか」を数日メモしてみると、その子のパターンが見えてきます。条件がわかれば、買い物の時間をずらすなど先回りの工夫ができるようになります。
体を動かす遊びで気持ちを発散させる
エネルギーや気持ちがたまっていると、ささいなきっかけで手が出やすくなります。日中に体を思いきり動かす時間をつくると、気持ちの発散になり、家の中での衝突が減る家庭は多いものです。雨の日も室内でできる遊びを用意しておくと、親子ともにストレスをためずにすみます。
▼発散におすすめの遊び
- 公園でのかけっこ・ボール遊び
- 布団の山のぼり・トンネルくぐり
- 新聞紙をびりびり破る遊び
2歳の叩く行動にやってはいけないNG対応
よかれと思ってやりがちな対応の中には、叩く行動をかえって長引かせるものがあります。
叩き返して痛みでわからせようとする
「痛みを知れば叩かなくなる」と叩き返すのは、避けたい対応です。叩き返されても、子どもは「痛いからやめよう」とは考えません。「困ったときは叩いていいんだ」と受け取ってしまいます。力で抑える方法は、その場では止まっても、より強い力で表現する習慣につながりかねません。大人が言葉で伝える姿を見せ続けることがお手本になります。
大きく反応したり長い説教をしたりする
叩かれるたびに大声で叱ったり、長い説教をしたりするのも逆効果になりやすい対応です。2歳には説教の内容より「たくさんかまってもらえた」という印象が残り、注目引きの叩きを強化してしまいます。反応は短く淡々と、そのぶん叩いていないときにたっぷり関わるという配分が効果的です。叱る時間を1割、ほめて遊ぶ時間を9割のつもりでバランスを取ってみてください。

叩かれる毎日に疲れた親自身のケアも大切
毎日叩かれていれば、イライラしたり自己嫌悪したりするのも当然です。自分自身の心の整え方にも目を向けましょう。
イライラするのは真剣に向き合っている証拠
子どもに叩かれてイライラしたり、悲しくなったりするのは、それだけ真剣に向き合っている証拠です。感情的になりそうなときは、子どもの安全を確認してからその場を少し離れ、深呼吸する方法が役立ちます。完璧な対応を毎回続けられる親はいないので、うまくいかない日があっても自分を責めないでください。親の心に余裕があることが、結果として子どもの落ち着きにもつながります。
▼助産師からのアドバイス
叩かないお子さんもいるので、「なんでうちの子はこんなに叩くのだろう」と不安になることもありますが、必ず叩かなくなります。

関わり方を専門家と一緒に整える
本やSNSで知識を集めても、わが子に合う対応かどうかは一人では判断しにくいものです。そんなときは、子どもの様子を直接見てもらえる相手に相談するのがいちばんの近道です。市区町村の子育て支援センターや保健センターでは、関わり方や発達の心配について相談できます。
保育園・幼稚園に通っているなら、園での様子とあわせて先生に聞いてみるのもおすすめです。叩く行動が続いて親子ともにつらいときは、健診を待たずに相談しましょう。家庭の外の人に状況を整理してもらうだけでも、次にどう関わればいいかの見通しが立ちます。
よくある質問|2歳が叩いてくることについて
家では叩くのに園では叩かないのはなぜ?
家でだけ叩くのは、親が「安心して気持ちをぶつけられる相手」になっている表れです。園では緊張感を持って頑張っているぶん、安心できる家でため込んだ気持ちが出やすくなります。信頼関係が築けている証拠なので、家庭でのしつけが失敗しているわけではありません。園での頑張りを褒めてあげながら、家では気持ちを言葉にする練習を続けてあげましょう。
叩く子はこのまま乱暴な子に育つ?
2歳の時点で叩く行動が多くても、将来の性格が決まるわけではありません。言葉で伝える力と気持ちを抑える力が育つにつれて、手が出る場面は減っていくのが一般的です。大切なのは今の行動そのものより、「叩く以外の伝え方」を繰り返し教えてもらえる環境があることです。
1歳の子が叩いてくる場合も対応は同じ?
基本の流れは同じですが、1歳はまだ「叩く」と「触る」の区別もあいまいな時期です。力加減を知らずにバシバシ触っている段階なので、叱るよりも手を止めて「やさしくなでなでだよ」と動きで教えるほうが伝わります。やさしく触れられたらほめる、を繰り返すうちに加減を覚えていきます。2歳の対応より、さらに短く・シンプルにが合言葉です。
まとめ|2歳が叩いてくるのは成長途中のサイン
2歳が叩いてくるのは、気持ちが言葉より先に育っている時期ならではの、一時的な表現です。
▼この記事のまとめ
- 叩く理由は「言葉が追いつかない」「自己主張」「遊び・注目引き」の3つ
- その場では止める→短く伝える→気持ちを代弁の順で対応する
- 叩き返し・大きな反応・長い説教は逆効果になりやすい
- 叩かなかった場面をほめることが行動を変える近道
叩く行動は、気持ちを言葉で伝える力が育つにつれて少しずつ落ち着いていきます。うまく対応できなかった、と落ち込む日があっても大丈夫です。手を止めて気持ちを言葉にして返す、をゆっくり繰り返していくうちに、子どもは「叩かない伝え方」を覚えていきます。「叩く」が「言葉」に変わっていく途中にいる、と思って見守っていきましょう。
